【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
 賢人さんいわく、穂高社長は表情の変化が乏しくてわかりづらいけれど、実は激しい情熱を内に秘めているらしい。

 二十代で自ら設立したこの会社に、並々ならぬ思い入れがあるのだとか。

 その思いの片鱗はたしかに年末や年始の挨拶で表れているかもしれない。

「ホダカ・ホールディングスは皆さんとともに歩んできた会社です。私は社長として前進をやめるつもりはありません。どうかこれからも力を貸してください」

「社長、だいぶ堅苦しいです」

 いつものように茶々が入ってフロアに笑い声が上がる。声を発したのは隅に控える眼鏡の男性――社長秘書の深水さんだ。

 彼は穂高社長とよほど固い絆で結ばれているらしく、ニコニコと邪気のない笑みを浮かべながら、ほかの誰かが口にしたら場が凍り付くようなセリフを平気で言う。

「ご挨拶はそのあたりでよろしいかと」

「そうか。じゃあ」

 横やりを入れた秘書をつまらなそうに一瞥しただけで、社長は杯を掲げる。

「乾杯!」

 彼の掛け声に合わせて全員が杯を掲げた。

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