【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
 賢人さんが呼ばれ、フロアがざわついた。同時に私の心音も高くなる。人垣の後ろに隠れようとしたら、真凛に腕を掴まれた。

「え、冴島部長の報告って?」

「まさか会社辞めるとか?」

「いやいや執行役員に選任されるとかじゃないの」

 周囲の人々の声を聞きながら居たたまれない気持ちになっていると、壇上に上がった賢人さんが深水さんからマイクを受け取った。

「えー、こんな場で報告させられるなんて、なんの罰ゲームかと思ってます」

 賢人さんが笑顔の社長秘書を嫌そうに横目で見ると、フロアが沸いた。

「いったいなにしたんだ、冴島くん」

 江田部長が笑いながらヤジを飛ばして、場がまた盛り上がる。

 部下たちには鬼部長と恐れられていても他部署の面々からは信頼されているし、アルコールも入っているからフロアはとても賑やかだ。

「では簡潔に。私事で恐縮ですが、このたび結婚することになりました」

 どよめきが起こった。

「は、結婚? あの鬼部長が!?」

「嘘だろ。あんな冷徹人間と付き合える女なんていたのかよ」

 同期の宮田君を含めた営業部のメンバーが声を潜めている。

< 113 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop