【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
 いろいろと声を掛けられているのに何一つ言葉として聞き取れなかった。ただ笑みを浮かべて頭を下げ続ける。

 視界の端で倒れかけた池崎さんを後輩たちが支えているのが見えた気がした。

「えー皆さんお静かに」

 フロアのざわめきをかき消すようにマイクの声が入る。壇上に目を向けると深水さんが笑顔で淡々と言葉を続ける。

「おふたりとも、おめでとうございます。衝撃発言でしたね。では小野田CFO、締めの挨拶をお願いします」

 深水さんからマイクを渡された会社の財務戦略を統括する小野田CFOは、朴訥そうな眉をハの字に下げ、嫌そうにつぶやいた。

「この後に挨拶って正気か深水。すっごい、やりづらいわー」

 フロアに笑い声が巻き起こる。壇上に注目が逸れたことにほっと息をつき、私は近くに置いていたウーロン茶を一気に飲み干した。






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