【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
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食事を終えてお店を出ると涼しい風が頬を撫でた。星空の下、街路樹の黒いシルエットがお行儀よく並んでいる。公園が近くにあるせいか、秋の虫の合唱が耳に心地いい。
お腹も心も満たされて幸せな気持ちで歩いていると、するりと指先が絡んだ。私の手を握り、賢人さんは優しく笑う。
「寄っていきたいところだけど、今日は家まで送ったら帰るよ」
「明日早いですしね。私だったらここまでで大丈夫ですよ。あと五分くらいだし」
「ああそうだな、って、言うと思う?」
「……思いません」
賢人さんが女性を夜空の下に置いていくような人ではないことはよくわかっていた。たぶん相手が私ではなくても。
彼は本質的に優しいのだ。だからこそ心配になる。会社で鬼上司として振舞う行為は、どれほど賢人さんの心に負荷をかけているのだろう。
彼の本当の姿を知ってから、オフィスで宮田くんたちが賢人さんを悪く言うことに私の方が堪えられなくなってきている。賢人さんは気にするなと言うけれど、彼がどれだけ部下たちに心を砕いているか気づかない営業部のメンバーたちがもどかしい。
「宮田くんが担当してるSY社の再生計画って、明日中でしたっけ」
「ああ、あれか」