【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
「これからご飯行かない? ちょっと話したいことがあってさ」
あまりにも突然の申し出に、ぽかんと口を開けてしまった。すぐに我に返り、頭を必死に回転させる。
「あの、ごめんなさい。私これから約束があって」
様々なパターンを想定して用意しておいた断り文句をどうにか口にすると、池崎さんは慌てたように言う。
「ちょっとだけでいいから時間くれないかな。食事が無理そうならどっかでお茶とか……そこでもいいから!」
指差された先を見ると、エントランスアプローチの隅でフットライトに淡く照らされたベンチが見えた。
「十分! いや五分だけ! お願い、話を聞いてほしい!」
両手を合わせ必死に頭を下げる池崎さんにぎょっとする。エレベータから降りてエントランスを抜けるビジネスマンたちが何事かと視線を寄こしていく。
「顔を上げてください」
誰が見ているともわからない場所での目立つ振る舞い。普段から注目を浴びることに慣れている池崎さんはなんとも思わないのかもしれないけれど、私にとっては針のむしろだ。
「わ、わかりました。五分だけなら」
梃子でも動こうとしない彼に、そう答えた。もし真凛だったらこんな状況でもキッパリ断れるのだろうか。
私って本当にダメだな。