【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
煙が出そうなほど猛烈に頭をフル回転させていたときだ。
「和花?」
聞き覚えのある声に振り返る。帰宅を急ぐビジネスマンの流れに逆らうようにしてひとりの男性が近づいてくる。オレンジ色のフットライトに照らされた姿を見て私は息をのんだ。
「やっぱり和花だ」
ネイビーのスリーピーススーツを着込んで人懐っこい笑顔を浮かべた彼は、私の正面まで来ると「よう」と手を上げ、池崎さんにも「ども」と笑顔のまま頭を下げる。
「昴……」
「え、もしかして彼氏って、この人?」
池崎さんが目を丸めて突然現れた彼を見る。
一瞬の沈黙の後、「いえいえ」と否定しようとした私を遮るように昴が身を乗り出した。
「はい! 和花の彼氏の三浦昴です。会社の先輩さんですか?」
ニコッと相好を崩す元カレに唖然とした。
「ちょっと」
私の抗議の目を物ともせず、昴は愛想よく続ける。
「いつも和花がお世話になってます。これから出かけるので、失礼しますね」
あくまで明るく、けれど有無を言わさぬ勢いで池崎さんに会釈をし、昴は私の腕を掴んで歩き出した。引っ張られるまま通りに出て、いつも乗る地下鉄の階段を通り過ぎる。
「ちょっと、昴」