【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい

「ごめんなさい。私、彼氏がいるんです」

 誰とは言わなくても、その事実だけ伝えれば池崎さんも引かざるを得ないはずだ。そう思ったのに、二年先輩の彼はやっぱり私の想像の上を行く。

「彼氏?」と素っ頓狂な声を出した池崎さんは、考え込むように首を傾げた。

「あれ、忙しくて出会いがないって言ってなかったっけ? 有村と毎年クリスマスに一緒に飯食ってるんだよね?」

 内心の焦りを悟られないように、顔を覗き込んでくる先輩営業マンから視線を逸らす。

 彼は私が去年まで真凛と毎年ふたりでクリスマスディナーをしていたことを知ってるらしい。お調子者のムードメーカーといえどやはり営業部のエースだ。情報網が半端じゃない。

「彼氏って、どこで出会ったの? 小松ちゃんは合コンとか行くタイプには見えないし。もしかして社内?」

 眉をひそめる池崎さんに、背中を冷たい汗が滑る。

「えっと……」

 どう切り抜けよう。絶対に追及されるから社内の人間だと認めるわけにはいかない。かといって賢人さんと出かける以外は会社と家の往復しかしていない私が、男性と出会う自然な場所なんてすぐには思いつかない。下手なこと言ったら突っ込まれてしまう。
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