【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
 有名なパワースポットでもあるらしいそこは樹齢六百年を超える杉の巨木に囲まれた荘厳な場所で、参道の階段が九十段近くあった。賢人さんに手を借りながら登り切り、朱色の鳥居を潜り抜け、御本殿でお参りをする。

 おみくじは引かなかった。もう十一月だし、年明けに初詣に行って引けばいいかなと考えていたら、賢人さんが御籤箱を見やりながら言った。

「おみくじはいいかな。もうすぐ年末だしな」

 そうですね、と答えながら笑ってしまう。

 同じタイミングで同じことを考えていたみたいだ。賢人さんとはそういうことがよくある気がする。

 バスで麓に戻ってきてコインロッカーから荷物を取り出すと、賢人さんは腕時計に目を落とした。時刻は十五時半だ。

「チェックインまで微妙に時間があるな」

「宿はここから近いんですか?」

「歩いて十分弱だな。ちょっと寄り道してもいいか?」

「もちろんです」

 どことなく軽い足取りの彼に連れていかれたのは、川沿いにある蔵のような造りの小さなお店だった。
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