【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
***
都心に近づくにつれ、窓の外に広がっていた午後の空が直線的なビル群で切り取られていく。車窓の景色が建築物の群れに変わってしばらくすると、特急列車はターミナル駅に滑り込んだ。
ここから賢人さんの最寄り駅までは地下鉄に乗り換えて十分くらいだ。
「あっというまだったな」
名残惜しそうに口にする賢人さんに「そうですね」と返すと、不可解そうな表情で顔を覗き込まれた。
「なに、ニコニコして」
「いえべつに……」
慌てて目を逸らす。
旅行が楽しいとそのぶん別れ際が寂しいものだけれど、家に着くまでずっと一緒にいられるって、すごく幸せだ。その喜びが顔に出てしまったらしく、表情を引き締める。
でも、同棲や結婚をしていたら、同じ家に帰るなんて当たり前のことなんだろうな。
ドアが開きホームに降り立つ賢人さんに続きながら、ニットに覆われた大きな背中を見上げる。
やっぱり、ちゃんと一緒に暮らしたい。
――じゃあ試してみろよ。和花から本気で同棲したいって言えばいい。それで断られたらクロだ。
昴の声が脳裏をよぎって、ぶんぶん首を振った。