無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
「ははん。視察は視察でも、町の視察ではなく彼女の視察でしょう?」
「なんだと、チャーリー」

 チャーリーのつぶやきに、ヴィクターは噛みつかんばかりに怒鳴った。

『よかった。間に合ってよかった。『ブラック・ビースト』を急かしたのはかわいそうだったが、お蔭で彼女に会うことが出来た。ああ、彼女は今日も可愛いなぁ』

(ああ、なんてこと。今日もまた、ヴィクターの「真実の声」がよく心に流れ込んでくる)

 今日もヴィクターの「真実の声」は、絶好調みたい。

 そのとき、往来にいる町の人たちがこちらを見ていることに気がついた。
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