無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
 キャロルに頼めばヴィクターに会えることはわかっている。キャロルなら脅したりすかしたり、あるいはもっと強引な手段を用いて絶対に会わせてくれる。

 そのことは重々承知している。

 だけど、彼女を利用したくなかった。

 自分の力で「おかえりなさい」を伝えたかった。せめてみずからの力で伝えたい。

 そんなくだらない意地が、キャロルの存在を否定してしまったのである。
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