愛毒が溶けたら
交番でのお礼を言いたい。
くれたメールの事で話がしたい。
勇運くんの事をもっと知りたい――

そんな事を思っていたら、指が勝手に、勇運くんの電話番号を押していた。その時に、思ったの。

どんなに避けられても、これまで通り勇運くんと話したいって。「気にするな」って言われても、気にしちゃうんだって。


――もう三石とは関わらない


そう言われても、私は……勇運くんと関わっていたいんだって。気づいてしまった。


「う~……っ」

「……バカだな。お前」


困ったように眉を八の字にして、口の端を上げた勇運くん。お姫様だっこをしたまま、私の顔を覗きこんだ。


「こういう時に兄貴に頼らなくて、どうすんだよ」


その時の勇運くんの顔には、すごく綺麗な笑みがあった。だけど前髪のかかった瞳は、嬉しそうにも見えるし……どこか切なそうにも見えた。


「勇運くん……」


勇運くんの気持ちが知りたくて、私は震える手を伸ばす。
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