お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「俺……隠し事は嫌いだから」

「って事だから。ね、母さん」

「……うん、ごめん。ごめんね」



四人家族が、三人になった。一人少なくなった穴を埋めるように、俺たちは団結力を強くした。そうすれば、悲しみも乗り越えられるんじゃないかと、そう信じて――




それから、定期的に親父の墓参りに家族みんなで行った。そして、ある時。兄貴が言ったんだ。



「父さん、僕は警察官になろうと思う」



――守人は将来、なにをしたい?



子供の未来を楽しみにして、そして……無念にも、見る事ができなかった親父。


そんな親父は今、兄貴の姿を見て誇らしげに見ているだろうか。

そして……いつまで経っても過去を受け入れられない俺を見て、残念に思っているだろうか。
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