お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
――にーちゃん、大丈夫?
――……っ
親父、ごめんな。
俺は、あの日。事故の真相を知った日から、子供が大嫌いになった。それは年々こじらせて、今では子供と話しただけで立っていられないほど気分が悪くなる。
母さんは、よく笑うようになった。
兄貴も、立派な警察官を目指している。
それなのに……俺だけは、過去から進めていない。
――もう三石とは関わらない
――こんな俺で、ごめんな
こんな俺を変えなきゃと思うのに、立ち向かう勇気を持って居なくて。自分を守るために、必死に「守り」に入っていた。
だけど――必死に「今」を変えようとしてる三石を見て、俺も「変わりたい」って思ったんだ。
墓参りの時、俺だけ浮かない顔をするのは嫌だ。見守ってくれる親父が安心できる「俺」になりたい。
『勇運、おいで』
親父がそう言った時、昔みたいに「ヤダね」って。堂々と言い返せるような、そんな俺でいたいんだ。
そのためには、過去と向き合うことから始めないとって、三石が気づかせてくれたんだ――――