お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する


「え……冬音ちゃん⁉」



私が既にがれきに向かっているのを見て、大きな声を出すのだった。



実は連くんと、連くんママを見た時。

私の中で、ひらめいた事がある。


二人が手を触れた時、奇跡的に連くんが目を開けた――それは、今、看板の下で一人戦っている勇運くんにも通じるのではないかと。そう思ったのだ。


ザザッ



「勇運くん!」

「…………は?」



瓦礫のすき間から見ると、勇運くんは驚いた目で私を見ていた。

「なんで」と言いたそうな顔は、その言葉を発することなく、ただパクパク動くだけ。


その間に、私は勇運くんの体を確認した。

腕に傷があって、血が出てる。あとは……足? 何かに挟まれているように見える。

勇運くんは無傷ではない。危険な状態にあるのだと察する。


だけど、だけど――
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