愛毒が溶けたら

「うぅ……っ、私、何も出来なくて、必死で……」

『”何も”じゃないわ、あなたは、勇運を守ってくれた。だから、どうしてもお礼が言いたかったの。

勇運を守ってくれて、本当にありがとう』

「……っ、」



その時、頭の中に、私と勇運くんが映った。


暗闇の中、三角座りで小さく座る私たち。

だけど、まるでお日様が昇ったように。二人の頭上で、眩しく輝く光が、暗闇をどんどん晴らしていく。

すると、私と勇運くんは、手を取り合って立ち上がる。

そして、その眩しい光に向かって、笑顔で歩き出した。



「う……っ、」



そうか。私たちは、



――二人で一緒に、この暗闇から抜け出そう



無事に、あの暗闇から抜け出すことが出来たんだ。



「うわ~ん……っ」



お母さんは、ただ泣きわめく私の声を、黙って聞いてくれていた。
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