お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
時折、私が息継ぎで泣き声が途切れる頃を見計らって「ありがとう」と何度も繰り返し、私にお礼を伝えてくれた。


その言葉は、今の私にズッシリ響いて。


自分は何も出来ないと思っていた私が、まさか大切な人を助けることが出来ていたなんて――

その事が嬉しくて、どうしようもなく誇らしくて。自分で自分にありがとう、と心の中でお礼を言う。


すると、勇運くんと手を繋いでいた「頭の中の私」が、ふいにこちらを振り返る。

そして、



「冬音は弱くなんかない。強い子だよ」と。



いつか勇運くんが言ってくれたのと同じ言葉を、笑顔で言ったのだった。




――――最悪の事故があった、今日。


私は大切な人を守ることが出来、

そして、

自分への自信を取り戻した、忘れられない日となった。

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