お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
*守人*
*守人*
いつものように、僕と勇運がケンカをして。そして、いつものように母さんに叱られて。
「勇運がわるい」、「守人がわるい」なんて言い合って疲れた僕たちは、まるで折り重なるように横になり、いつの間にか眠っていた。
そして、先に僕が目を覚ました。
勇運が足の上にいるせいで、上半身を起こせても、動くことができない。喉が渇いた僕は、「動きたいのに動けない」――ただ、それだけの事で泣いてしまった。
「う~……っ」
すると、その時だった。
「守人、ほら。これ」
「父さん……」
母さんに怒られた僕たちを慰めるのは、父さんの役目だった。それは、この日も同じで。
父さんは、動けない僕を見越して。コップに、ジュースを注いで持ってきてくれた。
「勇運は、まだ起きそうにないね」
「うん……」
ズビ、ズビと。鼻を鳴らして、嗚咽をもらす僕を見て。父さんは、優しい声で笑った。