五年の想いを抱えて
また、慎也。

「ねえ、何で慎也なの?」

「まあまあ、内緒っ。ほらこれ、あるじゃん」

お母さんが浴衣を手に取った。

私のお気に入りの紺地に白の花柄の浴衣。

「明日、着付けしてあげよっか」

相変わらずからかうように笑っているお母さん。

「…お願いします」

お母さんに知られてしまうかもしれないリスクより、可愛い状態で会いたいという思いが勝ってしまった。

「はいはい、可愛くしてあげるわ」
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