五年の想いを抱えて
押入れのほうに歩く私の後ろにお母さんがついてくる。

「明日のお祭り?」

「うん」

「今年も美波ちゃんと慎也くんと行くの?」

「あ、今年は別の友達と…」

私が濁したのをお母さんは見逃さなかった。

「男の子?」

「…まあ」

「彼氏?」

「違う!…そんなんじゃない」

「じゃあ、好きな人か」

私はついに答えられなかった。

お母さんは意地悪そうに笑った。

「そっかそっか。慎也くんもお気に入りだったんだけどなあ」
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