五年の想いを抱えて
「玲ちゃん?」

ふいにかけられた声で体に力が入る。

「先輩…」

先輩は髪色が薄い、チャラそうな友達と来ていた。

「浴衣可愛いな」

先輩の手が私の肩に伸びる。

連れの人たちも私を囲む。

反射的に体をこわばらせたとき。

「またお前かよ!邪魔しやがって」

先輩の腕をつかんでいるのは晴葵だった。

「いい加減にしろよ、この前言ったことまじだかんな」

そういって晴葵は先輩をつかむ手に力を込める。
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