別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
「ねぇ、拓海! 家の中がきれい。一日二日でどうにかできるレベルじゃない。ずっとやってないとこんなにきれいにはならない」

 拓海が日々掃除をしていたことに瞳は気づいたらしい。拓海は、瞳が隅々まできれいにしてくれていたと気づくのに随分と時間がかかったが、瞳は一瞬で見抜いてしまった。これが経験の差というものだろうか。瞳にはまったく敵う気がしない。

「はは。瞳はさすがだな。よくわかったな」
「もしかして私が普段やってることずっとやっててくれたの?」
「うん。できる範囲でだけどな。瞳がやってること全部は把握できてなかったし。わかる範囲でやってた」

 瞳がやっていたことを思いだしながら、できる限りでやっていた。瞳からすればきっと至っていないところだらけだろうが、それでも過去の自分と比べれば大分しっかりとやっていたと思う。

「大変だったよね……週末は毎週実家のほうに来てくれてたのに。これじゃあ、拓海全然休めなかったんじゃないの?」
「そんなことないよ。瞳がいないと何もする気になれなくて、代わりに家のことやってた。毎日少しずつやってたから、そこまで大変ではなかったよ」

 何かの娯楽を楽しもうと思っても、自分以外の気配のない家の中だとあまり楽しめなかった。すぐに気が散ってしまって、暇を持て余していた。幸い仕事もほとんど残業なく帰宅できていたから、時間は余っていたくらいだ。
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