女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
2章 翡翠、参上
○将棋研修会、端島喜之介8段邸。

(畳の部屋、書棚には将棋の本、棋譜のファイル、タイトル戦トロフィーなど、弟子は4、5人)

研修会終了後。

端島喜之介47歳、銀ぶちで度の入ったメガネ、まばら白髪の神経質そうな師匠。


端島「桜花。清麗戦の準備は順調か」

桜花「はい、決勝までのシュミレーションと見里女流清麗の棋譜研さんはしています」

端島「本戦にはくらいついてでも勝ち上がれ。見里との5番勝負、楽しみにしている」

桜花「はい、師匠」

端島「体調管理はじゅうぶんにな」

桜花「ありがとうございます」

桜花は部屋を出て、ひと息つく。

いい人なんだけど、師匠でなければ関わりたくない人だと思う。

桜花は端島邸を出ると、鞄から除菌スプレーを取り出し、手に吹きつける。


○端島邸、門柱前。

端島の弟子、萩尾22歳。

シティボーイ風の装いをしているが、やぼったい感じの青年。
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