課長のケーキは甘い包囲網

 絶対みんなからいじられる。やだよ、針のむしろ。

「なんだよ?俺が心配なんじゃないのか?」

 私は彼を見上げて言った。

「心配させるようなことをするの?あっちってどんな女性が多いんですか?もしかして有紀さんみたいな美人が大勢いるとか?あっちの採用って別だからどんな人がいるのか知らないし……料理ができるんだから女子力高い人が多いのかな」

「まあ、そうだな。以前のお前ほど出来ない人は絶対にいない」

「……ひどい」

「あ、おいおい、どうしてそんな顔するんだよ。おい……」

 私が彼にしがみついて肩を震わせたら、背中をさすり始めた。

「公表したいのは俺だ。今まで俺がお前の周りを牽制してきたんだ。男どもは気づいている。伏見も気づいてる。だから多分大丈夫だとは思うんだが、異動で他の男も入ってくる。お前の笑顔に俺以外の奴もやられる可能性があるだろ。心配なのは俺だよ、馬鹿だな」
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