課長のケーキは甘い包囲網

「……誠司さん」

 私の涙を拭うと社内なのにキスを軽くしてくれた。

「いよいよお前の上司は卒業だな」

「確かにそうですね。料理の師匠はまだ継続してくださいね」

「そうだな。よし、俺は先に戻る。あ、それと今日は一緒に食事でもして帰るか?お前、桜井の仕事もやるんだろ?俺のは今日やらなくてもいい」

「はい」

「じゃあ、後でな。お前、顔落ち着いてから入ってこい。目が赤い」

「もう、誰のせい?みんなに見せつけて、課長にいじめられたって言うからいいです」

「すみれ。人がせっかく我慢してやっているのに……いいぞ、じゃあもっと泣かせてやろうか?」
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