課長のケーキは甘い包囲網

「とにかく行くぞ。買い物もして帰るからな」

 課長は戸締りをしろと言って、ガスの元栓をまるで我が家のように閉めている。私は諦めて、カーテンを引いた。

 荷物は課長が持ってくれた。私は保冷袋をぶら下げて外へ出ると鍵をした。

 ああ、こんなはずじゃなかったのに……。

「あー!」

「今度は何だ、一体?」

 驚いた課長が振り向いた。

「着替えてなかった……まだ部屋着だし……」

 課長は、私を見てまた吹き出した。

「さすがに買い物して帰るし、その刺激的な部屋着はまずいな……よし、後ろの駐車場にいるから、着替えてこい。荷物は持っていく」
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