【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく

6.元大聖女、耳をふさぐ

 魔族の国王の長ったらしい名前が私の動揺に拍車を掛け、そして何よりも続いた内容に目が点になった私。

 国王の第一子で男性。それが意味するのは、王太子。

「うんまあ、そういうことかな……」

 なればまさしく目の前で後ろ頭を掻いて笑っているこの男性、世継ぎの君ではないの。

 やばいやばいやばい。ジュデット式の礼儀作法なんか知らないわよ……。
 私は背中に冷や汗をかきながら、黙ってベッドの上に膝を折り深々とお辞儀をする。

 セーウェルトの王太子ギーツと会っていた時とは訳が違う。
 ここはなんといっても魔族の国ジュデットなのだ。
 王族相手に無礼な対応を取ったと判断されれば首が飛びかねない。
 せっかく拾った命を無駄にしたくはない。

 しかし、そんな私の行動に王太子殿下はひどく慌てていた。
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