忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―
 十分が過ぎた。

 誰も来ない。

 あと少し。

 もう少しだけ。

 今帰ったら、そのあと丈が来るかもしれない。

 そう思うと立てなかった。

「…………」

 スマートフォンを開く。

『会いたいです』

 返事はない。

 亜美は入力欄を押した。

『今日、塾にいます』

 送る。

 これなら。

 先生、来てくれるかな。

 画面を見たまま待った。

 一分。

 二分。

 何も来ない。

「…………」

 指が動く。

『待ってます』

 そこで止まった。

 待ってます。

 自分からそう言うのが、少しだけ恥ずかしい。

 それでも消さなかった。

 送信する。

『待ってます』

 来て。

 お願い。

 今日は来て。

 スマートフォンを握ったまま、入口を見る。

 先生に会いたい。
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