忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―
 電車に乗ってから、スマートフォンを開いた。

 丈との画面。

『会いたいです』

『今日、塾にいます』

『待ってます』

 今日。

 何を話したんだろう。

 思い返してみる。

 ほとんど何も話していない。

 相談もしていない。

 何かを教えてもらったわけでもない。

 それなのに。

 会えてよかった。

 もっと一緒にいたかった。

 別れたばかりなのに。

 また会いたい。

 明日は?

 明日も会える?

「…………」

 今までにも丈を呼んだことはあった。

 待ったこともあった。

 でも、そこには話したいことや聞きたいことがあった。

 今日は違った。

 亜美は画面を閉じようとした。

 そのとき。

 開いていない通知がひとつ残っていることに気づいた。

 幸也。

「…………」

 けれど。

 亜美の指はそこには触れなかった。

 もう一度、丈との画面へ戻る。

『会いたいです』

 丈に会うための理由を。

 もう探していなかった。
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