忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―
 話さなきゃ。

 ちゃんと。

 そう思う。

 だって。

 幸也が好きだから。

「…………」

 大学見学の日。

 キーボードを弾いていた幸也。

 あの姿を今でも覚えている。

 初めて話したとき。

 嬉しかった。

 クラシックも弾けると教えてくれたこと。

 音大に落ちたことを。

『君だけが知ってる秘密』

 そう言われたこと。

 もっと会いたいと思った。

 もっと話したかった。

 もっと知りたかった。

 同じ大学へ行きたくて。

 勉強した。

 大学に入って。

 また会えた。

 幸也が笑うと嬉しかった。

 名前を呼ばれるだけで胸が鳴った。

 文化祭の前の日。

 好きだと伝えた。

 振られたときは苦しくて。

 それでも諦められなかった。

 そして。

 幸也から。

 好きだと言ってもらえた。

「…………」

 あのとき。

 本当に嬉しかった。

 ずっと好きだった人の恋人になれた。

 隣にいられるようになった。

 手を繋ぐのも。

 触れられるのも。

 自分だけを見てくれるのも。

 全部、嬉しかった。

「……幸也さんが、好き」

 今も。

 それだけは迷わなかった。
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