忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―
「前に……もう会わないって」

「言ったね」

「…………」

「あのときは、亜美が幸也と付き合うって決めたんでしょ」

「……はい」

「だから離れた」

 亜美は丈を見つめた。

「じゃあ……もう、離れなくていいですか?」

 丈が少し笑う。

「それは亜美が決めることでしょ」

「私が……?」

「うん」

「…………」

「亜美はどうしたいの?」

 私は、どうしたい?

 もう分かっていた。

 会いたい。

 そばにいたい。

 いなくならないでほしい。

「……離れたくないです」

「うん」

「先生と」

「うん」

「もう、離れたくない」

「そっか」

「一緒にいたいです」

「…………」

「これからも」

 丈の手が亜美の頬に触れた。

 涙の跡を、親指がそっと拭う。

「亜美」

「……はい」

「それでいい?」

 幸也の顔が浮かんだ。

 今も、胸は痛い。

 それでも。

 幸也と別れないために、丈を手放すことはできなかった。

「……はい」

 亜美は丈を見つめた。

「私が、そうしたいです」

「そっか」

 丈が少し笑った。

「……先生」

「何?」

「もう少し……そっち行ってもいいですか」

「いいよ」

 亜美は小さく息を吸った。

 私から。

 自分から距離をなくした。

 丈の胸に額を寄せる。

 次の瞬間、丈の腕が背中に回った。

「……先生」

「うん」

「ここにいて」

「いるよ」

 亜美は目を閉じた。

 もう離れたくない。

 今度は。

 自分でそう決めた。
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