忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―
 帰る時間になっても、亜美はなかなか丈から離れなかった。

「亜美」

「……はい」

「そろそろ帰る?」

「帰ります……」

 そう言いながら、動かない。

 丈が少し笑った。

「じゃあ、送るよ」

「……はい」

 二人で歩き出す。

 少し進んで、亜美は丈の手を見た。

 今日は。

 私から。

 そっと手を伸ばす。

 指先が触れた。

 そのまま、丈の手を握る。

「先生」

「何?」

「……離さないでください」

「うん」

 丈が握り返した。

 その温かさに、亜美は少しだけ笑った。

 会いたいと言ったのも。

 好きだと言ったのも。

 手を伸ばしたのも。

 全部。

 亜美だった。
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