佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

他の人が聞けば、ほんとに付き合っているのかと心配される内容だろう。

だが、それでも、辰巳が好きなしおりは、待つ女でいられる。

「そんな人と付き合ってて、寂しくないですか?私だったら、無理です。自分が本命なのか疑って、毎日、疑心暗鬼で、浮気とか心配しちゃいます。あっ、でも、しおりさんは、彼氏さんの浮気なんて気にしないでドーンと構えていそうですよね」

彼女に悪気はないのだ。

しおりの心の奥底を覗かれたようで、顔が曇っていた。

「うわー、また、私、余計なこと言いましたよね。すみません。しおりさんなら、大丈夫です。こんな素敵な人が彼女なのに、浮気なんてしませんよ」

香織は、自分の失言を挽回しようとしたが、余計な慰めでしかなかった。

「だといいんだけど…ミーティング始まる前に終わらせよう」

「はーい」

(私、愛されてるよね⁈辰巳さん)

開店前のミーティングでは、本日の予約のお客様の担当者の発表と、昨日の売り上げ、今月の残り売り上げ目標が言われる。そして、携帯は、今の時代誰でも持っているので、オプションの契約を取れるように発破をかけられるのは、毎日のこと。

みんなで、売り上げ目標到達に向けて、気を引き締めて開店。
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