佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
14

2月にはいり、恋人がいる人や片思いをしている女性にとって、心が浮き立つイベントといえば、バレンタイン。

しおりの勤める職場では、手作りチョコ派かチョコ購入派に別れるのだが…

「しおりさん、絶対喜びますよ。色白の肌に黒は映えます。これがいいですよ。これにしましょう」

「えっ…私?香織の買い物についてきただけだよ」

「なに言ってるんですか…しおりさんも必要ですよ。なんてったって、付き合いたてなんですから、ここは、エロさ重視で…ぐふふふ」

「…わたしは…いいかなぁ」

いやらしい笑い声と、にたつく香織に、しおりは若干、引き気味に足を一歩後退するのだが、手を掴まれてしまった。

「ダメです。逃しません。今度は、私の選びますよ」

来店したランジェリーショップは、セクシーさが売りのお店らしく、バレンタインのイベント用に特設コーナーが置かれ、女性客が何人も吟味している。

確か今日は、通常通りに営業が終わり、香織に誘われて買い物についてきた。

バレンタイン用の買い物に付き合う為に。

しおりも手作りしようかなぁと思っていたので、零士には、香織と食事することになったと夕方に連絡済みなのだが…
< 149 / 182 >

この作品をシェア

pagetop