佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「無難な答えだね。まぁそうだよな…じゃあ、どっちが俺っぽい?」
お隣さんとはいえ、お客様なので、しおりは『どっちでもいいよ』とは言えず、考えるふりをする。
「ブラックですか?」
「じゃあ、ブラックでお願いします」
「はい。では、お客様の契約内容をご確認いたしますので、身分を証明できるものをお見せください」
東雲が提出した免許証に照らし合わせて、身分確認後、契約内容を確認。
「ご契約内容ですが、現在通話はほとんどSNSをご利用ですね。それでしたら、こちらのプランに変更されるのがお勧めですが、変更されませんか?」
「佐藤さんのお勧めなら、変えてもいいよ」
両隣で接客中の同僚は聞き耳を立てていたらしく、こちらを見て目を見開いている。
『仕事に集中しなよ』と、両隣を睨んで男に引き攣った笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。でしたら、こちらのプランにご変更ということで手続きいたします。電気料金を当社と契約していただければ、お得となりますが、いかがですか?」
「手続き面倒じゃない?」
「大丈夫ですよ。当社と電気会社と契約しておりますので、こちらにお客様の契約サインをいただければ、そのままで手続きは不要となります」