佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「ないない。お客様だよ」
お隣さんだとは言えば、大騒ぎになりそうだ。
「もったいないです。あんなイケメン、滅多にお目にかかれないですよ。でも、しおりさんには彼氏がいますもんね。残念」
何が残念なのか…
「あー、恋が生まれる予感がしたんですけど、ほんと、残念です」
香織は、自分の事のように大きくため息をついて、勿体ないと嘆くのだった。
今日は、精神的疲労が多く、いつも寄るコンビニでお酒を買って帰ろうと寄ったら、1時間前にも見た顔が、そこにあった。
「今日は、ありがとうございました」
「こっちこそ助かったよ」
しおりが手に持つ缶チューハイを、東雲は奪った。
「ちょっと」
「お礼に買ってやるよ」
そう言うなり、レジへ行き会計してしまった。
「奢ってもらう理由ありませんから、支払います」
遊歩道を並んで歩く2人。
「いーよ。それぐらい。どうしてもっていうなら、代わりにデータ移行してくれよ」
「それは違反になるので無理です。でも、やり方教えてあげますよ」
「マジ、助かる。説明読みながら面倒だなって思ってたんだよな」
「だから、料金頂いてるんですけど」
「あはは、そうだよな」
「ふふふ、そうですよ」