佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「しおり⁈どうしたんだ?」
数メートルを駆け寄り、顔を覗く東雲に、一気にしおりの涙は溢れ出てしまった。
「うっ、……しののめさん」
東雲は、全てを悟りしおりの頭を抱き寄せ胸をかす。
「よしよし、涙が枯れるまで俺の胸で泣きな」
しおりが落ち着くまで、肌寒い共有廊下で長い時間、しおりの頭を撫でる手。徐々に冷静になってくると、寒さを感じ、東雲の服装に驚く。
「東雲さん、トレーナー一枚?ごめんね。寒かったよね」
「あー、そういえば寒かったかも。あはは」
「あははって、我慢してたんでしょ」
「落ち着いた?」
「…まぁ、もう、大丈夫。東雲さんの顔見たら、涙とまらなくなって、驚いたよね。それなのに、黙って胸貸してくれてありがとう」
「いいえ、しおりを慰める役ができて役得」
バカなこと言ってと、苦笑するしおりは、東雲のトレーナーの一部がびっしょりと濡れていることに気づく。
「あっ、びっしょりと濡らしてごめんなさい。冷たいよね。早く着替えないと。あっ、どこか出かける予定だった?」
「これくらい大丈夫。ただ、いつもより、しおりの帰りが遅い気がして、様子見に隣行こうとしてただけ。まぁ、無事に帰ってきたし、よかったよ。明日も仕事だろ。泣き腫らして仕事行くなよ」