今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─


変に横やりを入れてハッピーエンドルートが潰れては元も子もない。


(だけどやっぱり、ヘレナが怖い思いするのは心配よね。でもでもジェイド先生が守ってくれるから!大丈夫!)


アンの醜い顔を見て、コソコソ話しながら令嬢たちが通り過ぎて行くがまるで気にならない。


アンが胸の前で両手を組み合わせて考えに耽っていると、パーティホールがざわめいた。ざわめきにつられて、アンも顔を上げる。


(あーミカエルかな?)


ひとたび姿を現わせば、すべての視線を掻っ攫い、すべてのものに祝福されてその場に君臨するのがミカエルだ。


階段の上から優美に足を下して歩き始めたミカエルを見て、令嬢たちが黄色い声で湧きたつ。


(着飾ってるとさらに顔が天才だなミカエルは)
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