【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
そう。シュンくんは、ずるい人。

きっと大学でも、無自覚な優しさで、色んな女の子からモテまくっているに違いない。


「シュンくんって、絶対モテるよね。」

「なに、急に?」


思わず口に出た私の推測に、シュンくんは食べる手を止めて、私を見つめる。


「彼女とか、いないの?」


大学2年生の夏なんて、きっと最高に楽しめるとき。

想像した大学の世界に、少し痛むような気のする心を隠し、私はそんなことを訊ねていた。


「いないよ。なに、どうした?」


可笑しそうに答えるシュンくんに、私は疑いの目を向ける。


「だって、こんなにかっこよくて優しいのにいないなんておかしいもん。
もし良い人がいるんだったら、私の送迎なんて来なくていいからね?
お兄ちゃんこれなくっても、歩ける距離だし」


強がりのような言葉を、つらつらと並べると、シュンくんは、なんでも無さそうに笑う。


「なんだ、そんな心配?大丈夫だよ。俺が会いたくて来てるんだから」


またさらりと、嬉しくなってしまうようなセリフを受けて、
私は、むっと口を閉ざした。

その表情にシュンくんは、「なんだその顔、可愛いな」と笑っていた。
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