血の味のする恋を知る



荒くなる呼吸を必死で整え、脂汗と冷や汗でじっとりと肌を湿らせながら虚に視線を上げる。


見下ろされた顔に浮かぶのはわたしを甚振ることへの優越感や嗜虐心、恐怖、興奮、快感、ありとあらゆる穢らしい感情がごちゃ混ぜにされた醜いものだ。


あぁ、でもこの人達と同じ血がわたしにも流れているんだっけと思えば渇いた笑いが浮かぶ。


笑ったことが気に入らなかったのが顔を殴られた後に首を絞められた。はくはくと本能的に空気を取り込もうと口を開閉すればそのみっともない姿をまた笑われる。



こんなものが、こんな下品で醜くてありとあらゆる悪意を煮詰めて形作ったものが、私たちが教えられてきた守るべきものなのか。


どれだけ姿形が同じでも、意味のある言葉を交わせても、同じ血が流れていようとも、笑いながらこんなことができる人間が、こんな生き物に自身の身を削り、命をかけて守る価値があるのか。


ぐらぐらとマグマのように熱くて、どろりと濁った何かがお腹から噴き出すのを感じた。そしてそれの行き場もわからないままにわたしの意識はぶつりと切れた。



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