血の味のする恋を知る
ぽつり、と自分でも驚くほどにするりと言葉が口から滑り落ちる。
あぁ、この人達の前で、自分の意思で自分の考えを口にしたのはいつぶりだろうか。話そうとすると口答えをするなと怒鳴られ、殴られたり蹴られたりしていたから、いつからかただ無言のまま嵐が過ぎ去るのを待っていたっけ。
でもどうしても疑問に思ったのだ。この人達は一体何を言っているのだろう。自分の言っていることを理解しているのだろうかと心底不思議に思った。
ぴちゃり、ぴちゃりと、液体の滴る音と呼吸を失敗したような引き攣った音がした。
「…………どうして、あなたたちは、わたしに助けてなんて言うの?」
それは何も知らない無垢な幼い子どもが大人に尋ねるような声で。
「どうして、当然のように自分たちは守ってもらえるのだと思えるの?」
わたしだってはじめの頃はちゃんと言っていたよ。
痛い、殴らないで蹴らないで、怒鳴らないで怒らないでごめんなさい、ごめんなさい酷いことしないでいい子にするからごめんなさいごめんなさいごめんなさい。痛いよ、お願いやめてやめてやめてやめて!!!
その嘆きを、悲鳴を、叫びを、笑いながら捻り潰したのはあなたたちだ。
「どうしてわたしが守らなきゃいけないの?」
痛いことをした、酷いことをした、悲しいことをした、人間だったわたしの尊厳も何もかもを踏み躙ったあなたたちを。
何度も何度も何度も、人間だったわたしの心を嬲り殺して嘲笑ったあなたたちを。
この世界で最も醜い、悪意の塊でしかないあなたたちを。