【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
「もちろん、結婚されてるのもわかってました。結婚指輪してたし。でも、それでも振り向かせたくて1年頑張ってみたんですけどね。 
 そうこうするうちに、奥様が入院して来られて。そこで悟りました。
 医局で、笑顔がなくなっちゃったんです。心配で心配で、余裕がなかったんでしょうね。
 時間が許す限り、奥様の病室にいるのは、みんな知ってました。
 あー、この人、奥様以外全く目に入ってないんだ、って思いました」

 亮平……そんなに心配かけてたんだ。
 私の病室では、全然普通だったのに。
 いや、それより結婚してるのわかっていて追いかけてたのか! すごいな、稲森先生!

「もう、今は医局で親バカぶりは有名です。写真を飾って、いつも鉄平ちゃんの話をしてます。
 でもね、それよりも……」

 それよりも?

「ふと思ったんですよ。
 そんなに大切な奥様なのに、なんで写真は鉄平ちゃん1人なんだろう⁇ って。
 ほら、よくテレビとかで見かける、職場に飾られた写真って、奥様が子供を抱っこしてるところとかじゃないです?」

「……たしかに、そうかも」
「聞いたんですよ。奥様の写真は? って。そしたら、なんて言ったと思います?」

 あ、なんとなくわかるような……。

「『あいつの写真は誰にも見せられない。俺の嫁は、めちゃくちゃ可愛いんだ。誰かがうっかり惚れたら困るだろう?』ですって。よくもまあ、ぬけぬけと。一年も追いかけてた私に惚気るなんて! 呆れてモノも言えませんでした」

 あぁ、やっぱり。亮平らしい……。
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