離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
そこに北山の名の力があることは、彼もわかっているだろう。それをよく思わない人もいるかもしれない。けれど彼はそれも受け入れているように見えた。
先日感じたように偉ぶったところなどなく昔と変わらないところもある、けれどその反面変わったところだってある。私からみた今の彼は、北山玲司という立場を受け入れつつも自分らしさを失わないでいる様に思えた。
この四年間の困難を通じて、彼は大きく変化したのだろう。
――じゃあ私は。
ダメだ今はまだ仕事中だ。関係ないことは考えないでいよう。
時間まで少しある。私たちは玄関先にある待合室で先方を待った。時間を少しすぎてから先方の岸岡文具の社長がやってきた。
「いやあ、悪かったね。少し遅れて」
「いいえ、いつもお世話になっておりますライエッセの鳴滝です。こちらが弊社の新しい社長の北山です」
「はいはい。聞いてるよ~君、北山のおぼっちゃんなんだって?」
「そうなんですよ。さすが耳が早いですね」
玄関先でいきなりそんな話をするなんてと思ったけれど、玲司は気にしていないようだ。
岸岡文具の社長の岸岡さんは、先代の息子だ。年齢はたしか五十代前半。弊社の取引先でもあるし、年齢も上なので多少上からの態度をとられても仕方がないのかもしれない。
仕事をしていれば理不尽な思いをするのはよくあることなので、あまり気にしないようにして案内されながら部屋に向かう。
席に座って落ち着いた頃、お互いに少しお酒を飲みながら話をはじめた。
「本来は営業担当の君塚がこちらに来る予定だったのですが、あいにく出張にいまして」
「あぁ、それなら気にしなくていい。下っ端に話をしても仕方ないから」
ぐいっとお猪口を傾けながら、シッシッとまるで追い払うように手を振る。先代の社長はずいぶん君塚をかわいがっていたので、態度の違いに驚いた。
「そもそもこちらから誘わなくても、そっちから挨拶に来るべきじゃないの?」
どうやら社長自身の挨拶が遅れたことが気に入らないらしい。封書で代表交代の挨拶をすませただけだったから、それはこちらの落ち度もある。
「こちらが至らず申し訳ありません。私どもの未熟さです。今後気をつけてまいります」
玲司はしっかりと頭を下げて詫びている。しかし岸岡社長はまだ治まらないのか、まだこちらを責めた。
先日感じたように偉ぶったところなどなく昔と変わらないところもある、けれどその反面変わったところだってある。私からみた今の彼は、北山玲司という立場を受け入れつつも自分らしさを失わないでいる様に思えた。
この四年間の困難を通じて、彼は大きく変化したのだろう。
――じゃあ私は。
ダメだ今はまだ仕事中だ。関係ないことは考えないでいよう。
時間まで少しある。私たちは玄関先にある待合室で先方を待った。時間を少しすぎてから先方の岸岡文具の社長がやってきた。
「いやあ、悪かったね。少し遅れて」
「いいえ、いつもお世話になっておりますライエッセの鳴滝です。こちらが弊社の新しい社長の北山です」
「はいはい。聞いてるよ~君、北山のおぼっちゃんなんだって?」
「そうなんですよ。さすが耳が早いですね」
玄関先でいきなりそんな話をするなんてと思ったけれど、玲司は気にしていないようだ。
岸岡文具の社長の岸岡さんは、先代の息子だ。年齢はたしか五十代前半。弊社の取引先でもあるし、年齢も上なので多少上からの態度をとられても仕方がないのかもしれない。
仕事をしていれば理不尽な思いをするのはよくあることなので、あまり気にしないようにして案内されながら部屋に向かう。
席に座って落ち着いた頃、お互いに少しお酒を飲みながら話をはじめた。
「本来は営業担当の君塚がこちらに来る予定だったのですが、あいにく出張にいまして」
「あぁ、それなら気にしなくていい。下っ端に話をしても仕方ないから」
ぐいっとお猪口を傾けながら、シッシッとまるで追い払うように手を振る。先代の社長はずいぶん君塚をかわいがっていたので、態度の違いに驚いた。
「そもそもこちらから誘わなくても、そっちから挨拶に来るべきじゃないの?」
どうやら社長自身の挨拶が遅れたことが気に入らないらしい。封書で代表交代の挨拶をすませただけだったから、それはこちらの落ち度もある。
「こちらが至らず申し訳ありません。私どもの未熟さです。今後気をつけてまいります」
玲司はしっかりと頭を下げて詫びている。しかし岸岡社長はまだ治まらないのか、まだこちらを責めた。