その笑顔を守るために
「美味しそうだねーこれ…僕らも貰っていいのかな?」
山川が面白そうに瑠唯を覗き込んだ。
「あっ…はい、勿論です!何時もいっぱいもらっちゃって…一人で食べきれなくて…」
「何時も…って…原田先生、掃除のおばちゃんと仲いいんですか?」
三ツ矢も呆気に取られている。
「仲いいって言うか…私、何時もここにいるんで…ほら、ここってそこから清掃用具出し入れするのに、よく通るから、挨拶とかしてるうちに色々話しするようになって…それで」
焦って説明するうちに段々と訳が分からなくなる。
「ま、まあ、せっかくですから、山川先生も三ツ矢くんもどうぞ召し上がって下さい!…もしかしたら、そのうち…」と瑠唯がいいかけた時…
「あれ〜今日は山川もいっしょ
〜?なんだよ〜三ツ矢くんも〜?せっかくの瑠唯ちゃんとのひと時なのに〜」と不満を漏らしながら、滝川がちゃっかり瑠唯の隣に座った。
「なんだ、滝川!…その…瑠唯ちゃんとのひと時と言うのは!」
憮然とする山川をあっさり無視して
「あっ!今日はおこわ?僕、お昼まだで…お腹ペコペコ〜いただきま〜す。」
さっさと食べ始める。
「あの…山川先生も、三ツ矢くんもどうぞ。」
瑠唯がお皿におこわをよそって二人に渡すと…
「あれ?今日は先生方お揃いで。」とにこやかに篠田がやって来た。
「満席かぁ」と近くから椅子を引き寄せて座る。
「また、篠田かよ〜」
滝川がうんざりとした顔でぼやいき、山川の機嫌は急降下していった。
若手トップ4の医師達に取り囲まれた三ツ矢は縮こまって、黙々とおこわを食べ続ける。
味は全くしなかった。
その日の夕方、瑠唯は外科部長の加藤に呼び出されていた。
「加藤部長…原田です。」
「ああ…疲れているところ悪いね。君にちょっと頼みたい患者さんがいてね。」
「はい、どのような患者さんでしょう?」
「十三歳…中学一年生で…脳腫瘍の女の子だ。」
「…オペ…ですか?」
「いや…それが…オペ出来ないんだ。」
「オペ出来ない?何故です?」
すると加藤は、数枚のMRI画像を見せる。そのうちの二枚を指して
「これが去年私がオペする、前と後のものだ。」
かなり難しい位置にある二センチ程の腫瘍がオペ後の画像で綺麗に消えている。
「この段階で綺麗に取りきれてると思いますが…」
次に加藤はもう一枚の画像を見せて
「先月撮ったものだ。」
「再発…ですか?再手術の可能性は…?」
そしてさらに、数枚の画像を見せる。ここで瑠唯は目を見開いた。
「これ…って…」
「ああ…あちこちの臓器に癌が発症していて…もう既に手の施しようがない…」
無念そうに下を向く。
「ご本人は…?」
「患者本人も、ご家族も既に承知している。」
「それで…なんて…」
「何もせず…このまま…と…ただ、緩和ケアをと…」
「そう…ですか。それで…私は何を…?」
「それなんだが…君に全てを押し付けるつもりはないよ。治療は…と言っても殆ど出来ることはないんだが、このまま私が責任をもって続けていくつもりだ。ただ…患者本人の気持ちがね、後ろ向きというか…投げやりというか…まあ無理もないんだが…何か少しでも出来ることがないかと思ってね。君…小児科の患者さんに凄く人気があるだろ?それに同じ女の子だ。」
「人気…と言いますか…友達感覚なんだと思いますけど…」
「ああ…それでいいんだよ。すまないが少し話し相手にでもなってやってもらえないだろうか?君も色々と忙しいとは思うんだが…大野くんには話しを通してあるから…」
「はい…私に何が出来るか分かりませんが…少しでもお力になれるよう、考えてみます。」
「ああ…そうしてもらえると助かるよ。」
山川が面白そうに瑠唯を覗き込んだ。
「あっ…はい、勿論です!何時もいっぱいもらっちゃって…一人で食べきれなくて…」
「何時も…って…原田先生、掃除のおばちゃんと仲いいんですか?」
三ツ矢も呆気に取られている。
「仲いいって言うか…私、何時もここにいるんで…ほら、ここってそこから清掃用具出し入れするのに、よく通るから、挨拶とかしてるうちに色々話しするようになって…それで」
焦って説明するうちに段々と訳が分からなくなる。
「ま、まあ、せっかくですから、山川先生も三ツ矢くんもどうぞ召し上がって下さい!…もしかしたら、そのうち…」と瑠唯がいいかけた時…
「あれ〜今日は山川もいっしょ
〜?なんだよ〜三ツ矢くんも〜?せっかくの瑠唯ちゃんとのひと時なのに〜」と不満を漏らしながら、滝川がちゃっかり瑠唯の隣に座った。
「なんだ、滝川!…その…瑠唯ちゃんとのひと時と言うのは!」
憮然とする山川をあっさり無視して
「あっ!今日はおこわ?僕、お昼まだで…お腹ペコペコ〜いただきま〜す。」
さっさと食べ始める。
「あの…山川先生も、三ツ矢くんもどうぞ。」
瑠唯がお皿におこわをよそって二人に渡すと…
「あれ?今日は先生方お揃いで。」とにこやかに篠田がやって来た。
「満席かぁ」と近くから椅子を引き寄せて座る。
「また、篠田かよ〜」
滝川がうんざりとした顔でぼやいき、山川の機嫌は急降下していった。
若手トップ4の医師達に取り囲まれた三ツ矢は縮こまって、黙々とおこわを食べ続ける。
味は全くしなかった。
その日の夕方、瑠唯は外科部長の加藤に呼び出されていた。
「加藤部長…原田です。」
「ああ…疲れているところ悪いね。君にちょっと頼みたい患者さんがいてね。」
「はい、どのような患者さんでしょう?」
「十三歳…中学一年生で…脳腫瘍の女の子だ。」
「…オペ…ですか?」
「いや…それが…オペ出来ないんだ。」
「オペ出来ない?何故です?」
すると加藤は、数枚のMRI画像を見せる。そのうちの二枚を指して
「これが去年私がオペする、前と後のものだ。」
かなり難しい位置にある二センチ程の腫瘍がオペ後の画像で綺麗に消えている。
「この段階で綺麗に取りきれてると思いますが…」
次に加藤はもう一枚の画像を見せて
「先月撮ったものだ。」
「再発…ですか?再手術の可能性は…?」
そしてさらに、数枚の画像を見せる。ここで瑠唯は目を見開いた。
「これ…って…」
「ああ…あちこちの臓器に癌が発症していて…もう既に手の施しようがない…」
無念そうに下を向く。
「ご本人は…?」
「患者本人も、ご家族も既に承知している。」
「それで…なんて…」
「何もせず…このまま…と…ただ、緩和ケアをと…」
「そう…ですか。それで…私は何を…?」
「それなんだが…君に全てを押し付けるつもりはないよ。治療は…と言っても殆ど出来ることはないんだが、このまま私が責任をもって続けていくつもりだ。ただ…患者本人の気持ちがね、後ろ向きというか…投げやりというか…まあ無理もないんだが…何か少しでも出来ることがないかと思ってね。君…小児科の患者さんに凄く人気があるだろ?それに同じ女の子だ。」
「人気…と言いますか…友達感覚なんだと思いますけど…」
「ああ…それでいいんだよ。すまないが少し話し相手にでもなってやってもらえないだろうか?君も色々と忙しいとは思うんだが…大野くんには話しを通してあるから…」
「はい…私に何が出来るか分かりませんが…少しでもお力になれるよう、考えてみます。」
「ああ…そうしてもらえると助かるよ。」