御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐
【心が揺れる~陸&空斗】
「空斗様。最近、楽しそうですね。何かいいこと、ございましたか?」
「そうかなぁ。いつもと変わらないけど」
「私は幼い頃から空斗様を見ていますので、分かりますよ。今の空斗様の方が、私はいいと思いますけど」

最近、土日になると、陸として図書館に出掛ける。
咄嗟に名前が出たけど、『空斗』と『陸』。結構気に入っている。
何かを話す訳でもなく、赤斐さんと隣に座って、本を読む時間。
いつも満たされる事が無かった俺の心に、温かさが流れ込む、幸せな時間となった。

「北郷さん、赤斐さんの仕事ぶりはどうですか?」
「えぇ、地頭がいいんでしょうねぇ。仕事も早い。最近は、英文の翻訳や資料の作成の補助をしています。ビジネス英語は難しいので、完璧ではありませんが、助かりますよ」
そうか。それで最近、英語の本を読んでいたのか。
たまにため息をついて、また読み出しての繰り返し。きっと難しいんだろうなぁと気にはなってたけど・・・
そうか・・・仕事のためか。
会社では教える事が出来ないから、今度、教えてあげよう。

会社では、殆ど話す事が無い。
秘書室の扉が開いていると、パソコンに向かう彼女を見かけるか、部屋を出入りする時に、入り口で見かけるくらいだ。
会社で見かける彼女は、存在を消すかのようにオーラを消す。

会う回数が増える度に、表情が柔らかくなっていく赤斐さん。
せっかく可愛いのに。
まぁ、俺だけが知ってる赤斐さんって感じで楽しいけど・・・
俺にとって、赤斐さんは気になる存在に変わっていた。
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