御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐
【正体を明かす時~陸から空斗へ】
土曜日の朝。いつも通りにマンションに来た。
明日はクリスマスイブ。
俺にとっては、ビジネス先行で、いわば稼ぎ時。
ただ、今回のクリスマスイブは、赤斐さんと、勉強しながら一緒にケーキを食べようと約束をした。
一流シェフのケーキを調達しようとしたけど、
「私、作ってもいいですか?」
「もちろんさ!楽しみにしてるよ」
頬を赤く染め、照れながら俺に確認した。
こんな顔するんだ・・・
でも、それは、空斗としての俺じゃ無く、陸の俺にだ。

最近、仕事をしていると嫉妬する。秘書補佐としての赤斐さんは、専務の俺には笑顔を見せない。
そして、その思いは増すばかりだった。
「赤斐さん、この書類、北郷さんに渡して欲しいんだけど、お願い出来るかな?」
「はい。お預かりします」
一瞬目を合わせるけど、直ぐに逸らし、頭を下げて、席に向かう。
そして、淡々とパソコンに向かって仕事を始めた。

初めて味わう、胸がぎゅっと締め付けられるこの感覚。
俺は秘書室を出て、2人だけの空間に我慢が出来なくなると思い、そのまま専務室を出た。
危ない・・・気持ちのコントロールが、効かなくなってきた。
< 24 / 65 >

この作品をシェア

pagetop