御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐
それって・・・じゃあ、あの時・・・
「どうして専務が知っているのかと、あの時はびっくりしました。でもそれから注意深く2人を見ていると、何気ない仕草、声の優しさ、英語での話し方、同じでした」
「それなのに、どうして・・・」
「専務を好きになった素振りを見せたら、私は異動になります。ずっと、陸さんの、専務の傍に居たかったから・・・」

涙を浮かべる赤斐さんを、俺は抱きしめた。
「すまなかった。騙すつもりは無かったんだ」
「いえ・・・陸さんに出逢えて嬉しかったです。例え一時の恋だとしても、人を好きになる喜びを教えて貰いましたから」

赤斐さんは、俺の腕の中から離れ、覚悟を決めたような目で、俺を見据えた。
「でも、これで終わりですね。専務を好きにならない、その約束を破りましたから」
寂しそうに震える声で、覚悟を伝える赤斐さんに、もう衝動が抑えられない。
「俺が終わらせないよ」

赤斐さんをベッドに連れて行き、服に手を掛け、現れる素肌。
こんなにドキドキするのは、初めてだ。
紅葉する頬に、目に映る色白でなめらかな肌は、熱を帯びている。
色気混じりで俺を見つめる瞳に、吸い込まれそうだ。
< 30 / 65 >

この作品をシェア

pagetop