御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐
「さすが、ワシの孫だ!それと、華さん」
「はい」
「今まで通り、ワシのことは太陽と呼ぶように」
爺ちゃんはニヤけた顔をしていた。
気に入ったんだな。華に『太陽さん』って呼ばれるのが。

話も終わり、隣の別宅に向かい、ようやく華と過ごせる時間が出来た。
「辛いことを聞かせて、すまなかった。華」
「仰ってたことは、事実ですから。私なんて、身分も違えば、空斗さんの横に立つのに相応しくないです」
涙を堪え、肩が震える華を、包み込むように抱きしめた。

「俺がずっと傍に居て欲しい人。その人が俺に相応しい人だろ?」
華が顔を上げ、俺を見つめた。
「それはこの世でたった1人。華だけだ。俺は華と、俺達の子供との未来しか考えていない」
「空斗さん・・・ありがとうございます」

離れていた時間。
それは不安しかなかった。ようやく、華が俺の腕の中に戻って来た。
「華との子を愛おしむ時間が、ようやく出来た」

俺が華のお腹を撫でると、華は優しく微笑んでいた。
俺達の子供を一人で育てようと、決心していた華。
母としての愛を知った華は、一段と魅力的になっていた。
「嬉しいです。空斗さんと一緒に育てることが出来て」
「温かい家庭を築こうな」
頷く華にキスをして、温もりを確かめるように、抱きしめた。
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