義兄と結婚生活を始めます
由梨子の言葉を聞いた和真は、スマホを取り出して時間を確認しながら、三森へ連絡を取った。


「三森さん、先ほど話していた通り、会場へ運んでください。私たちはこのまま由梨子の車で会場へ向かいます。はい、荷物の方を先に届けることが先決です」


それだけを言うと、和真はすぐに通話を切って、由梨子に確認を取った。


「別で送迎の車は来ているんですよね?」

「え、えぇ…念のために…。でも!三森さんの方が元々送迎するだけだったんでしょう!?どうして三森さんが在庫を!?」

「はい。あの在庫は小鳥遊社の別倉庫にもあるので、元より間に合うんです」


エレベーターのドアが開くと、歩き出す和真に、小走りで由梨子は付いて行った。
和真の最後の言葉に、とても頼りがいのあると感じてしまい、こんなときなのにドキドキしてしまった。

外に出てしばらく待っていると、由梨子が呼んだ送迎車が到着し、二人は乗り込んだ。


「和真、もう一つ聞きたいんだけど、この担当って湯浅さんだったでしょ?どうして和真が行くの?」

「湯浅さんは今日は有給で呼び出しはできません。小鳥遊のミスなのですから僕が行くのは当然ですよ」


淡々と述べてしまうと、スマホの着信に気づく。


「はい。…はい。ありがとうございます」

「三森さん着いたの?」

「はい。先方に不足分の在庫も渡せたようです」


少しホッとしたのか、これからのためなのか、おもむろにネクタイを締め直す和真。
車が会場に到着すると、二人は降りてすぐに責任者の元へ向かった。











…ー
昼過ぎにオフィスへ戻ると、入ってきた和真と由梨子に人がワッと集まった。


「小鳥遊さん、申し訳ありませんでした!!」

「ありがとうございます、小鳥遊さん!!由梨子さん!」

「いえ。皆さん、残りの業務を進めてください」


謝罪を始め、一同が頭を下げるが、和真は自分の席にようやく座ることができた。
すると、横から缶コーヒーをコトッと置かれる。


「お疲れ」

「……」


涼介からの差し入れを素直に受け取ると、缶コーヒーを開けて飲み始めた。


「由梨子ちゃんもお疲れ~」

「ありがとう!それよりも、和真すごかったのよ!」

「うんうん、その話はあとで聞くよ。どうせ二人ともそのまま戻ってきたんだろ?」


涼介の言葉を聞いて、初めて気づく。
時計を見れば、本来の休憩時間を大きく過ぎていたため、ようやく空腹感が出てきた。

由梨子も同じなようで、パッと笑顔になって涼介と和真をランチに誘った。

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