義兄と結婚生活を始めます

18話

夕方になっても、部屋の掃除を続けていたあおい。
しかし、どこもかしこも綺麗なままなため、掃除の意味が疑問になってきた頃、窓を拭いていた手をようやく止めた。


「……ご飯…作ろう…」


自分に言い聞かせるようにぽつりと呟くと、エプロンをつけて食材を取り出した。


(お魚…煮つけの方が食べやすいよね。…野菜は蒸して塩であっさりの方が和真さんも食べやすい……)


下ごしらえを進めている途中で、ハッと気づくと、持っていた包丁を置く。


「今日は和真さんの分はいらない…けど!作り置きとしてならいいよね!?うん!」


自問自答をした後、包丁を持ち直して調理を再開した。
料理の間、あおいの頭の中では、ずっと由梨子の声が響いていた。

グツグツと魚を煮込み、野菜と肉を切っていく。


(ゆりこさんとご飯を食べて帰るのかな…)


トントン…トントン…


(お昼ご飯も一緒に食べたのかな…)


トントン、トントン、トントン、


(お仕事先でも一緒ってことは、今日はずっと一緒にいるってことだよね…)


トン…!


「……いいなぁ…」


すべての食材を切り終えると同時に、突いて出た言葉。
その言葉を発した自分に驚いて、顔が熱くなる。

鍋から噴きこぼれそうになっていることに気づくと、慌てて火を止めた。


(何言ってるの、私……私はお姉ちゃんの代わりなんだから…)


赤くなる頬をつねってから、料理を再開した。





















…―
和真は今回の件で、山田商社の責任者との会食を終え、三森の車を待っていた。
謝罪に来たのが社長の息子と分かったことで、今後のためにと、強く誘われたのだ。

時間を確認すれば、23時近くになっており、さすがの和真も疲弊を感じたのか、肩でため息をつく。
スマホを取り出し、あおいに連絡を入れようとしたが、やめた。

三森の車も到着し、後部座席に乗り込むと眉間をつまみ、フーッと息を吐いた。
それからは、タブレット端末を取り出して、操作をし始める。


「今日はお疲れですね」

「…そうでもありません。今日は無理をさせましたね」

「とんでもないです。小鳥遊家のために私がいるのですから」


端末の画面を見ながら三森の会話に言葉を返す。
しばらくしてから端末を鞄に入れ、窓の外の景色を眺めた。


「…三森さん、高速を使ってください」

「かしこまりました」


すぐに車線を変更すると、高速道路へと向かって行った。
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